風ふくまで

いつもクルマのことばかり考えています

スズキは悪くない?!

三菱に端を発した燃費計測データ改ざん問題は社長の辞任、日産のM&Aという形で一旦停止の様子。スリーダイヤが日本から消える日も現実味を帯びてきた矢先、スズキも燃費データを規定とは異なる方法で測定していたと釈明。暗雲立ち込める日本の自動車業界だが、三菱はともかくとしてスズキはマスコミに叩かれ過ぎではないかと感じたのはボクだけではあるまい。

僕は三菱のクルマは90年代後半頃から顕著に商品魅力度が低下してきていたと感じていた。GDIエンジンは一瞬注目されたが、今となっては何処へやら、プリウスが世に出る直前だったからこそ多少チヤホヤされた程度。それ以降、I-MIEV以外技術的に見るものは無いと言っても過言ではない。そんな三菱が燃費改ざん!?まぁ、過去のリコール隠しがまだ"過去"になっていない分、世論は冷たい。

一方で、今回は燃費の改ざんなので、命に関わる事象ではない。燃費が悪くなり過ぎてガソリン代払い過ぎて食べるものがなくなり死ぬ人はいないだろうから。そういう意味では前ほど激オコプンプン丸にはならなくてもいいのでは。加えて、燃費計測試験だってシャシダイナモ装置にクルマを載せて10・15モードで(今はJC08か)走るのを国交省の職員が確認していたわけではない、つまりメーカーの裁量にある程度任せていたと見られる(半分推測)状況で、国交省がしっかり確認せぇって意見にも一理あると思うのだが。。。

逆に改ざんしたのが"燃費"だから事が大きくなったとも言える。クルマを選ぶ際、何人乗れるか、ぶつかったときに生きてるか等といった基本的過ぎる要素を除いて、最も重視される要素がこのご時世燃費なんだと思う。多分デザインとかブランドとか置いといて燃費なんだと思う。走行性能、エンジン、サス、シートとか、レースでの活躍とかで選ぶ時代は遥か昔の話になってしまった。

クルマに多少詳しい身としては燃費なんてその人のクルマの使い方(高速長距離はディーゼル、街乗りはハイブリッド等)とか運転特性によって全く異なるもんだから、(ちなみにうちの母はN-ONEなのにリッター14kmくらいしか出せない(笑))28.5km/Lより28.6km/Lのクルマの方が凄い!なんて議論は殆ど価値がないと確信している。改ざんでどれだけ燃費を上乗せしていたかは不明だが、もっと他にも選ぶポイントあるだろ、と思ってしまう。その点、三菱のクルマには特に選ぶポイントがないので残念だが、スズキのクルマには美点がいくつも上がる。

と、長々と燃費改ざん問題について意見を述べているわけだが、今回ニュースでマスコミに叩かれ過ぎている原因の1つに消費者のクルマに対する偏った評価が影響していると思うのだ。

燃費しか見ずにクルマを選ぶなんて電気代しか見ずにエアコンや冷蔵庫を買うのと同じ、クルマの白物家電化が進行してしまった結果なのだと思う。でもボクはここで問いたい。日本人はモノを手に入れる喜びをもう感じなくなったのか。T型フォードをルーツとする大量消費社会を肯定するわけではないのだが、現代社会で日常生活を送る上でクルマを必要とする人はまだ多いはずである。折角購入するならば、しっかり品定めをしようじゃないか。今だ人生で2番目に大きな買い物なんだから。評価軸は燃費だけではないはず。消費者よ賢くあれ。